里楽10周年記念集会

踏み出そう自然体験活動の新たな一歩

 藤枝市を活動拠点としている自然学校「NPO法人里の楽校(がっこう)」(理事長・山田辰美富士常葉大教授)は11日、活動十周年記念集会を同市寺島の稲葉公民館で開いた。里の楽校は市内の稲葉と瀬戸谷地区を拠点に、川や里山の自然を使った地域密着型の自然体験を発信し、(社)河川環境管理財団などからも高い評価を受けている。地元の有機栽培農家の協力で命を考える食と農の教育でも成果をあげ、里の楽校のキャンプを体験した子どもには食べ残しをしない傾向が見られるなどの調査結果もある。これまで、小学生を中心に延5000人を超える若者がキャンプなどオリジナルの自然体験プログラムを経験している。同時に青少年のリーダー養成で、数多くの自然体験の指導者を輩出している。今回は中学生以上のリーダー経験を持つ幅広い世代が80名余集まった。宮城県、岐阜県、愛知県など遠方からも参加があった。筑波大学、愛知教育大学の教育学の研究者も高い関心を持って参加した。

 まず午前11時から14時まで、木の葉染とツリーイング(木登り)の技術研修会を行った。葉っぱの形や葉脈を布にリアルに写し取る染物の新しい方法の研修や、障害者などの力の弱いものでもロープとギヤを使用して安全に容易に木登りできるツリーイングという手法の体験を行った。また、公民館の会場にはこれまでのキャンプやイベントの様子を伝える写真や思い出の品々が所狭しと展示され賑わった。

 14時から16時半までの記念集会ではまず、同NPOの山田理事長が講演し、「地域の農家の要望で里の楽校は結成されたが、地域密着型の環境教育への人々の期待はますます大きくなっている」と需要の高まりを指摘した。続いて社会人から大学生まで10人が登壇して「里の楽校の活動を今後も続けるべきか」というテーマでディベートを行った。活動拠点である稲葉青年会館と周辺のキャンプサイトがなくなるなどの厳しい状況も報告され、会場を巻き込んだ白熱した議論が展開し、「子どもだけでなく指導に当たった学生リーダーも人生を変える貴重な経験を得ていた」、「不登校の子どもが立ち直る機会となっている」「自分の子どもにも経験させたい」などの意見が出た。「自然やふるさとの教育力」の大きさやこれまでの成果を再認識し、活動を続けていくことの意義を確認し合った。そして、多くの子どもたちや親の期待に応えるために、リーダー経験者や関係者の協力によって困難を乗り越え、活動の持続を模索することになった。